トップ >> 日本の風習・民俗#信仰と習わし >> 四国八十八ヶ所 四国巡礼のイラスト

四国八十八ヶ所

「お四国さん」でおなじみ、お大師様こと弘法大師・空海の足跡をたどる四国巡礼とは。

四国八十八ヶ所について

四国八十八ヶ所の情景のイラスト四国八十八ヶ所は、四国四県にまたがった弘法大師・空海ゆかりの88か所の寺院の総称です。「お四国さん」の愛称でも親しまれます。日本各地にある疑似四国八十八箇所の勧請元として「本四国」ともいわれます。
八十八箇所を巡拝することを四国巡礼といい、似たような呼び方として四国遍路、四国巡拝などといわれ、巡礼者は地元では親しみを込めて「お遍路さん」と呼ばれます。巡礼者は白装束に杖をついた独特の巡礼装束をまとい、菅笠には弘法大師が常に一緒に巡礼してくれているという信仰を表す「同行二人」の文字が記されます。
順路の全長は1300〜1400kmで、主に海沿いや平野部の寺院で構成され、参拝困難な内陸の山間部や寺院や札所間の長い順路は俗に「難所」と呼ばれます。札所番号通りに巡るのを「順打ち」、閏年に逆番号で巡るのを「逆打ち」とよばれ、逆打ちはより功徳が高いという俗信があります。
古くは僧達による修行のための巡礼の場でしたが、1687年真念によって版行された「四國邊路道指南」で初めて札所番号とご詠歌が明記され、以後宗教家以外の一般層への遍路人気が高まり、農民町民層の経済力の向上や参詣の流行と相まって、全国各地から観光をかねて巡礼者が訪れるようになり、現在へとつながっています。
弘法大師信仰を下敷きにしていながら宗派を問わないのが特徴で、真言宗以外の寺院の札所も存在しています。開かれた霊場であり、四国全土の変化に富んだ自然や地理環境をくまなく体感できる順路配置でもあることから、近年はラリーや自分探しといった信仰以外の目的で訪れる若者や、外国人からの注目も集まっています。2015年、文化庁により日本遺産の一つとして「四国遍路ー回遊型巡礼路と独自の巡礼文化」が認定されました。

四国霊場のルーツとは

四国八十八カ所の原型は、空海が平安仏教界で活躍する以前から四国に存在した、海辺や峻厳な場所に偏在する霊地を神仏礼拝や修行の目的で巡る「辺路修行」にあるとされます。八十八カ寺の中には、空海が自叙伝の中で若い頃修行したと記している大滝山(太龍寺)や室戸(最御崎寺)といった霊地や、行基や役行者が開いたとされる寺院、さらに四国四県の国分寺がすべて含まれるなど、空海の登場よりも遥かに古い歴史を持つ寺院が多く存在しています。四国は海を挟んだ熊野と連帯した、古代日本の宗教界における修行や巡礼の一大聖地としての性格が古くから有ったようです。弘法大師信仰の高まりと共に、空海や彼を追慕する修行僧達の謂れの残る社寺仏閣が次第に選定されてゆき、江戸時代までに現在の八十八カ所の巡路が確立したと考えられています。

四国の大自然の中で修行する若き日の空海のイラスト

発心の道場 1~23番:阿波の札所

徳島県の札所23カ寺の一覧になります。
1 竺和山 一乗院 霊山寺 釈迦如来
2 日照山 無量寿院 極楽寺 阿弥陀如来
3 亀光山 釈迦院 金泉寺 釈迦如来
4 黒巖山 遍照院 大日寺 大日如来
5 無尽山 荘厳院 地蔵寺 勝軍地蔵菩薩
6 温泉山 瑠璃光院 安楽寺 薬師如来
7 光明山 蓮華院 十楽寺 阿弥陀如来
8 普明山 真光院 熊谷寺 千手観世音菩薩
9 正覚山 菩提院 法輪寺 涅槃釈迦如来
10 得度山 灌頂院 切幡寺 千手観世音菩薩
11 金剛山 藤井寺 薬師如来
12 摩盧山 正寿院 焼山寺 虚空蔵菩薩
13 大栗山 花蔵院 大日寺 十一面観世音菩薩
14 盛寿山 延命院 常楽寺 弥勒菩薩
15 薬王山 金色院 国分寺 薬師如来
16 光耀山 千手院 観音寺 千手観世音菩薩
17 瑠璃山 真福院 井戸寺 七仏薬師如来
18 母養山 宝樹院 恩山寺 薬師如来
19 橋池山 摩尼院 立江寺 延命地蔵菩薩
20 霊鷲山 宝珠院 鶴林寺 地蔵菩薩
21 舎心山 常住院 太龍寺 虚空蔵菩薩
22 白水山 医王院 平等寺 薬師如来
23 医王山 無量寿院 薬王寺 薬師如来

徳島県の札所本尊:釈迦如来、十一面観音菩薩、地蔵菩薩のイラスト

修行の道場 24~39番:土佐の札所

高知県の札所16カ寺の一覧になります。
24 室戸山 明星院 最御崎寺 虚空蔵菩薩
25 宝珠山 真言院 津照寺 延命地蔵菩薩
26 龍頭山 光明院 金剛頂寺 薬師如来
27 竹林山 地蔵院 神峯寺 十一面観世音菩薩 町
28 法界山 高照院 大日寺 大日如来
29 摩尼山 宝蔵院 国分寺 千手観世音菩薩
30 百々山 東明院 善楽寺 阿弥陀如来
31 五台山 金色院 竹林寺 文珠菩薩
32 八葉山 求聞持院 禅師峰寺 十一面観世音菩薩
33 高福山 高福院 雪蹊寺 薬師如来
34 本尾山 朱雀院 種間寺 薬師如来
35 醫王山 鏡池院 清瀧寺 薬師如来
36 独鈷山 伊舎那院 青龍寺 波切不動明王
37 藤井山 五智院 岩本寺 五仏
38 蹉跎山 補陀洛院 金剛福寺 三面千手観世音菩薩
39 赤亀山 寺山院 延光寺 薬師如来

高知県の札所本尊:虚空蔵菩薩、文殊菩薩、三面千手観音菩薩のイラスト

菩提の道場 40~65番:伊予の札所

愛媛県の札所26カ寺の一覧になります。
40 平城山 薬師院 観自在寺 薬師如来
41 稲荷山 護国院 龍光寺 十一面観世音菩薩
42 一カ山 毘盧舎那院 佛木寺 大日如来
43 源光山 円手院 明石寺 千手観世音菩薩
44 菅生山 大覚院 大寶寺 十一面観世音菩薩
45 海岸山 岩屋寺 不動明王 久万高原町[21]
46 医王山 養珠院 浄瑠璃寺 薬師如来
47 熊野山 妙見院 八坂寺 阿弥陀如来
48 清滝山 安養院 西林寺 十一面観世音菩薩
49 西林山 三蔵院 浄土寺 釈迦如来
50 東山 瑠璃光院 繁多寺 薬師如来
51 熊野山 虚空蔵院 石手寺 薬師如来
52 瀧雲山 護持院 太山寺 十一面観世音菩薩
53 須賀山 正智院 圓明寺 阿弥陀如来
54 近見山 宝鐘院 延命寺 不動明王
55 別宮山 金剛院 南光坊 大通智勝如来
56 金輪山 勅王院 泰山寺 地蔵菩薩
57 府頭山 無量寿院 栄福寺 阿弥陀如来
58 作礼山 千光院 仙遊寺 千手観世音菩薩
59 金光山 最勝院 国分寺 薬師如来
60 石鈇山 福智院 横峰寺 大日如来
61 栴檀山 教王院 香園寺 大日如来
62 天養山 観音院 宝寿寺 十一面観世音菩薩
63 密教山 胎蔵院 吉祥寺 毘沙聞天
64 石鈇山 金色院 前神寺 阿弥陀如来
65 由霊山 慈尊院 三角寺 十一面観世音菩薩

愛媛県の札所本尊:不動明王、大通智勝仏、毘沙門天のイラスト

涅槃の道場 66~88番:讃岐の札所

香川県の札所23カ寺の一覧になります。
66 千手院 雲辺寺 千手観世音菩薩
67 小松尾山 不動光院 大興寺 薬師如来
68 七宝山 神恵院 真言宗大覚寺派 阿弥陀如来
69 七宝山 観音寺 聖観世音菩薩
70 七宝山 持宝院 本山寺 馬頭観世音菩薩
71 剣五山 千手院 弥谷寺 千手観世音菩薩
72 我拝師山 延命院 曼荼羅寺 大日如来
73 我拝師山 求聞持院 出釈迦寺 釈迦如来
74 医王山 多宝院 甲山寺 薬師如来
75 五岳山 誕生院 善通寺 薬師如来
76 鶏足山 宝幢院 金倉寺 薬師如来
77 桑多山 明王院 道隆寺 薬師如来
78 仏光山 広徳院 郷照寺 阿弥陀如来
79 金華山 高照院 天皇寺 十一面観世音菩薩
80 白牛山 千手院 國分寺 十一面千手観音菩薩
81 綾松山 洞林院 白峯寺 千手観世音菩薩
82 青峰山 千手院 根香寺 千手観世音菩薩
83 神毫山 大宝院 一宮寺 聖観世音菩薩
84 南面山 千光院 屋島寺 十一面千手観音菩薩
85 五剣山 観自在院 八栗寺 聖観世音菩薩
86 補陀洛 清浄光院 志度寺 十一面観世音菩薩
87 補陀洛 観音院 長尾寺 天台宗 聖観世音菩薩
88 医王山 遍照光院 大窪寺 薬師如来

香川県の札所本尊:阿弥陀如来、大日如来、薬師如来のイラスト
参考資料
四国遍路とはなにか:頼富 本宏氏著/角川選書
四国八十八箇所 - Wikipedia:https://ja.wikipedia.org/wiki/四国八十八箇所

日本の風習・民俗のコラムのカテゴリー


信仰と習わし

七福神

福の神様が仲良くそろった新春の縁起物・七福神とは。

七福神と宝船のイラスト

四国八十八ヶ所

お大師様こと弘法大師・空海の足跡をたどる四国巡礼とは。

お大師様のイラスト

金長狸

阿波の狸合戦でおなじみ、神としてまつられる金長狸とは。

金長大明神のイラスト

祭りと芸能

阿波おどり

徳島のお盆の夜を彩る一大イベント阿波おどりとは。

阿波踊りのイラスト

祇園祭

京都で一月にわたって行われる日本三大祭のひとつ祇園祭とは。

祇園祭稚児のイラスト

ねぶた祭り

青森の夏の夜に燃え上がる、ねぶた祭りとは。

ねぶた装束のイラスト

縁日

十日恵比寿

関西広域の新春の風物詩・十日えびすとは。

十日夷のイラスト

十三詣り

関西の子供たちの通過儀礼・十三参りとは。

十三詣りのイラスト

ほおずき市

江戸に夏の訪れを告げる、こんにゃく閻魔のほおずき市とは。

こんにゃく閻魔の鬼灯市のイラスト

朝顔市

情緒あふれる夏の縁日・鬼子母神の朝顔市とは

鬼子母神の朝顔市のイラスト

酉の市

関東の冬の訪れを告げる商売繁盛の酉の市とは。

お酉様のイラスト