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色名による分類

 人間の目は10万色以上の識別能力をもっています。これらの多種の色の情報を記録・伝達するための学術的・実践的分類方法が数多く考案されています。その一つが、色名による分類です。

 すべての色は三属性に基づき知覚されますが、そうやって認知された色を、我々は多くの場合既存の物体や事象のイメージと関連づけて認識しています。そのため、色の伝達手段として具体的な名称を各色に与えたものが「色名」です。色名にはいくつかの種類があり、便宜上「基本色名・系統色名・固有色名・慣用色名」の4つに大別されます。

●基本色名
 基本的な色みの区別を表すための色彩専門用語です。具体的な物の名称ではなく、代表的な色そのものの名称が使われます。現在、日本語の基本色名はJIS Z 8102(1985)「物体色の色名」に基づいています。これはマンセル表色系の10色相(赤・黄・緑・青・紫・黄赤・黄緑・青緑・青紫・赤紫)と無彩色3段階(白・灰・黒)に対応して選出されました。※10色相のうち「黄赤」を「橙」とすることがあります。無彩色3段階のうちの「灰」も含め、これらは物体名ですが、英語の翻訳上適当な該当語句がなかったため採用されています。


●系統色名
 基本色名に知覚的印象を表す修飾語をつけたものです。色相に関する修飾語は、「赤みの、黄みの、緑みの、青みの、紫みの」の5種類で表します。明度・彩度の差異を表す修飾語には、「明るい、暗い、鮮やかな、明るい、濃い、薄い、くすんだ、暗い、ごく薄い、ごく暗い、明るい灰みの、灰みの、暗い灰みの」などがあります。これらの修飾語を基本色名と組み合わせて「鮮やかな黄みの緑」「暗い青みの緑」のように表します。系統色名分類は、全色域を網羅することが可能であり、色彩調査や統計処理などに有効です。

●固有色名
 昔から特定の色を表現するために伝えられてきた古代色名や、現代になって使われるようになった現代色名、慣用的に用いられている色名などをいいます。染色の原料となった原料の植物や動物、人名、地名などが用いられます。

●慣用色名
 固有色名の中で、社会的利用・知名度の高いものをいいます。JIS Z 8102「物体色の色名」では、168色の慣用色名が採用されています。系統色名でいうところの「うすい赤」は慣用色名では「ピンク」となり、「暗い黄赤」は「茶色・栗色」になります。固有・慣用色名は系統色名に比べ、色のイメージをより明確に伝達するのに適しています。


・色名による表示例

色の名称の説明のイラスト

irouseの解説キャラクターイラスト
上のイラストは、色名による表示例です。基本色名「赤」に彩度/色相の特徴を表す「濃い/紫みの」という修飾語をつけることで、系統色名「濃い紫みの赤」で表現します。また、その三属性と知覚的に近い「クリムソン」「臙脂色」という固有色名でも表現することも出来ます。


その他の色の伝達方法は、下のテキストリンクよりご覧下さい。
色名による分類
表色系による分類
表色系/マンセルシステム
表色系/JIS
表色系/PCCS

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参考文献「カラーコーディネーター入門/色彩 改訂版」日本色研事業部

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