Cap - コラム・キャップについて

スポーツユニフォームからワークウェア、シティボーイコーデまで幅広く用いられるキャップに関するテキストです。

Roots - イギリス貴族の狩猟着として


ハンチングキャップをかぶった狩猟姿のイギリス人男性のイラスト

キャップは、前にだけブリム(庇、つば)のついたハット(帽子)の一種です。クラウン(山の部分)にゆとりのあるタイプをキャスケット、ぴったりとしたタイプをキャップと呼びます。帽子は頭部の保護やファッション、所属の標章としての目的などで、古くより用いられてきました。
19世紀半ばイギリスの上流階級の男性はシルクハットを被る習慣がありましたが、乗馬や狩猟などの激しい運動に向いていなかったため、頭の形に合っていてずれにくい帽子が生み出されました(イラスト参照)。ハンチングベレーやハンチングキャップと呼ばれた片つばのこの帽子は、実用性が高く安価に生産できることから、庶民にも広まってゆき、ゴルフや狩猟などのスポーツが盛んだった同時期のフランスでもノーフォークジャケットとのコーディネイトが流行しました。 日本語では鳥打帽(とりうちぼう)とも呼ばれ、19世紀後半から普及しました。




Development - ワークアイテムへ


ワークキャップをかぶったアメリカの鉄道作業員の男性のイラスト
20世紀初頭、ゴールドラッシュや西部開拓時代を経たアメリカで、ワークキャップが誕生しました。当初は鉄道作業員のかぶり物として生まれたため、別名“レイルロード・キャップ”とも呼ばれました。1920年代ごろに労働者の制服とセットで製造され支給されていました(イラスト参照)。ツバが短く、かぶりが浅く、天井部分がフラットになっているデザインが特徴です。デニムやヒッコリー・ストライプなどの生地が多く使われていました。ワークキャップは、現在でもほぼ当時のままのデザインで受け継がれ、カバーオール、オーバーオール、ペインターパンツなどと並んで、ワークファッションコーディネイトのキーアイテムとして、着用されています。


Fixation - 軍帽から野球帽へ


ベースボールキャップをかぶったユニフォーム姿のアメリカの野球選手のイラスト
1840年代に「ニューヨーク・ニッカーボッカーズ」というスポーツ団によって現在の野球の原型が作られましたが、当初競技中にかぶる帽子は麦わら帽子でした。 ベースボールキャップが現在の形状へと変化していく契機になったのは、19世紀後半の南北戦争であるといわれます。 野球は、ニューヨークなどアメリカ北部で発展しましたが、南北戦争中に兵士たちによってアメリカ全土へ広がっていきました。このとき競技中に着用していたのが軍服と、前につばの付いた軍帽で、この軍装が野球の装備のもとになったと言われています。 こういった歴史的な背景をベースに、現在のユニフォームの一部としての姿へと進化していきました(イラスト参照)。 現在代表的なキャップである野球帽は、スポーツカジュアルのアイテムとして、一般人のファッションにも取り入れられています。



参考文献
西洋服飾史 図説編/著者:丹野郁氏 発行:東京堂出版
服飾の歴史をたどる世界地図/著:辻原康夫氏 発行:河出書房新社
文化ファッション体系ファッション工芸講座1 帽子 基礎編/発行:文化服飾学院教育出版部
日本プロ野球ユニフォーム大図鑑 上/著:網島理友氏 発行:ベースボールマガジン社
ウィキペディア 帽子/https://ja.wikipedia.org/wiki/帽子
ウィキペディア キャップ/https://ja.wikipedia.org/wiki/キャップ
ウィキペディア ハンチング帽/https://ja.wikipedia.org/wiki/ハンチング帽
メンズのワークキャップ講座 かぶり方からコーデまで | メンズファッションマガジン +CLAP Men/https://mens.tasclap.jp/a1374
野球選手が試合でベースボールキャップを被る深イイ事情|LOCKER ROOM vol.2/https://andlockers.com/special/lockerroom/vol/vol2.php

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