Parka - コラム・パーカーについて
Roots - 起源はエスキモーの服飾文化
パーカー(パーカとも)は、防寒目的で着用する男女共通の上衣のうち、襟元に頭に被るフードがついたものの呼称です。そのルーツは、アラスカ先住民であるイヌイット(エスキモー)の防寒服にあります。
寒冷な極地に住む狩猟民イヌイットの衣装は、動物由来の素材でできているのが特徴で、
その上着であるアノラックまたはパーカ(パルカ)は、アザラシなどの皮をなめして毛を裏に貼り付けて作られており、アザラシの腸を糸に用い獣骨製の針で縫い上げられ、襟部分に頭巾(フード)が縫い付けられた丈の短い防寒着です(イラスト参照)。防寒のために裾をズボンに入れ込んで帯で留めて用いられることもあります。
アノラックとパーカという言葉は、そのまま現在におけるフード付き防寒着の呼称として用いられています。
Development - スポーツ防寒着として発展
パーカーやアノラックが一般的に上衣として用いられるようになったのは、1980年に入ってからです。最初は登山,スキー、ヨットなどのアウトドアスポーツにおける防寒用上着として使用されるようになりました(イラスト参照)。
イヌイットのオリジナルとの違いは、毛皮ではなくナイロンなどの化繊素材で中綿入りの生地でつくられることや、前開き形式の場合にジッパーやボタンなどでフロントを固定する仕組みになったこと、ポケットなどの収納のほか防水(撥水)機能なども施されたことなどです。現代的に改良が加えられた事で、機能的で活動しやすいアウターとして、運動着としてだけでなく作業着としても次第に利用されるようになりました。
Fixation - カジュアルアイテムへ
1980年代以降、アノラックは軽量なアウターとして日常着としても幅広く用いられるようになり、現在ではフード付きで丈の短い化繊生地の防寒着の通称として用いられることもあります。
一方パーカーは、スウェット生地の普及に伴い、スウェットシャツの応用としてのフード付きのスウェットパーカが広まりました。ヒップホップやエクストリームスポーツの普及によりストリートファッションのアイテムとしても人気があります。また、季節や用途に合わせて、素材やデザインのバリエーションが増し、ノースリーブや半そでのものまで登場しています。現在パーカーは、冬期に限定されないカジュアルなフード付き上衣の呼称として、アノラック以上に幅広い認知と需要を得ています(イラスト参照)。
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