Coat - コラム・コートについて



冬のメンズコーデのアウターとして、あらゆるシーンでのマストアイテムであるコートに関するテキストです。

Roots - 兵士たちの上着より



ジュストコールを着たフランス貴族の男性のイラスト
洋装の外套であるコートは、男女ともに上衣の呼称として用いられ、ジャケットととは丈の長さによって区別されます。
中世末期までのヨーロッパにおいてはツーピースの概念はなく、ローマ時代から伝わるチュニックタイプの下着に、頭から被るワンピースタイプのダルマチカやマントを羽織るのが常でした。13〜4世紀にかけて、ダブレットやプールポアンなどの前開きの上着やショーズ(ホーズとも)という股引タイプのズボンといった、上衣下衣の概念が登場しました。 17世紀の三十年戦争期、上衣は騎士達を中心にそれまでより活動的なスタイルへと変化してゆきました。同世紀後半にフランスでルイ14世の親政が始まると、兵士の外套から発展したジュストコールという上着が貴族の間でも着用されるようになり(イラスト参照)、プールポアンなどのタイトな上着は衰退していきました。



Development - イギリス風のデザインへ



フラックとキュロットを着た正装姿のフランス貴族の男性のイラスト
17世紀後半のフランス貴族においては、ジュストコールの下にヴェストという上衣とキュロットという下衣が着用されました。ヴェストは後に袖が取り払われ、現在のスリーピースの原型へと発展してゆきました。18世紀末のフランス革命時当時フランスでは、イギリス風の服装が流行していました。ジュストコールの前裾を斜めに開く形で切り落とされたフロックコートが貴族たちの上衣として用いられるようになりました(イラスト参照)。
フロックコートは、同時期のモーニングコートやルダンゴートと同じくイギリスの乗馬服にデザインを由来し、どちらも短い前裾と長い後裾が特徴です。特にフロックコートは馬にまたがり易いよう後ろ裾に切れ目が入れられている事からテールコート(燕尾服)と呼ばれるようになりました。



Fixation - 防寒着の通称へ



ダブルスーツの上からアウターとしてコートを羽織る男性のイラスト
フロックコートとモーニングコートはヨーロッパ中に普及し、19世紀半ばのイギリスではモーニングコートの裾を切り落としより活動的にしたセットアップのラウンジスーツも新たに誕生しました。これらの上衣は、後世には男子の正装となるほどの市民権を得ていきました。
現在では、上衣・外套としてのみならず、防寒着の呼称としてコートという言葉が使われるようになりました。様々な業種や用途において、機能的に改良された防寒着がコートの名で呼ばれています。近年カジュアルコーデで人気の高まっているチェスターコートは、正装のモーニングコートや燕尾服、ビジネススーツなどの上から羽織ることがあり(イラスト参照)、ルーツを同じくする上衣を二枚重ねで着る形になっています。



参考文献
西洋服飾史 図説編/著者:丹野郁氏 発行:東京堂出版
服飾の歴史をたどる世界地図/著:辻原康夫氏 発行:河出書房新社
文化ファッション体系ファッション工芸講座1 帽子 基礎編/発行:文化服飾学院教育出版部
ウィキペディア 燕尾服/https://ja.wikipedia.org/wiki/燕尾服
ウィキペディア 外套/https://ja.wikipedia.org/wiki/外套
ウィキペディア 西欧の服飾 (17世紀)/https://ja.wikipedia.org/wiki/西欧の服飾 (17世紀)

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