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祇園祭

千年続く古都・京都で、一月にわたって行われる夏の華・日本三大祭のひとつ祇園祭とは。

祇園祭について

祇園祭の情景のイラスト祇園祭は、祇園信仰のある社寺において7月を中心とした夏期に行われる祭事です。疫神や死者の怨霊を静め、厄除を祈念する神仏混淆の祭礼として始まり、神輿、山鉾などの隆盛以降は、町人参加の華やかな催事としての性格を強めて行きました。
京都府のかつての祇園社感神院が祇園信仰の中心であり、祇園祭の発祥地でした。ご祭神である牛頭天王は祇園天神とも呼ばれ、疫病をもたらすと同時に諸病を防ぎ厄を祓う神様とされます。内陸の湿地で高温多湿な環境であった京都では真摯に祀られ、その信仰は祇園祭とともに全国へと流布しました。神仏分離以降は八坂神社の須佐之男命として神式の信仰で受け継がれ、現在も同社は「ぎおんさん」として親しまれています。廃仏毀釈をまぬがれた寺社の中には、牛頭天王を継続して仏式に祭祀し、寺院として祇園祭をおこなっている所も全国にあります。
京都八坂神社の祇園祭は全国で最も盛大かつ有名で、初日の「吉符入り」から31日の「疫神社夏越祓」まで、7月の1か月間にわたって様々な行事が華々しく執り行われます。ハイライトは13日「稚児社参」14〜16日「宵山」17日「山鉾巡行」「神幸祭」といった一連の中旬の神事です。稚児は祇園祭の主役で、選ばれる事は大変な栄誉とされ、様々な潔斎を経て山鉾巡航の先頭を行きます。町ごとに華やかに飾られた30基以上の山鉾が囃子とともに練り歩き、内外からの観光客で町は大変なにぎわいを見せます。京都三大祭、日本三大祭、日本三大曳山祭といったものに名を連ねる、世界的にも有名な日本を代表する夏祭りの一つとされます。

祇園祭のルーツとは

860年代に行われた、六十六本の鉾をたてて悪霊を静め慰撫する御霊会と、祇園社感神院の牛頭天王信仰が融合して、祭りとして定着したとされています。山鉾山車は鎌倉時代末期頃から記録に残っており、囃子や舞曲なども付けられるようになり、富裕層や武家などが出資して盛んになりました。室町時代中期には、町ごとに趣向を凝らした山鉾を作って巡行させるようになり、竿状の鉾と稚児を乗せた屋台が合体して、現在見られるような鉾車が成立しました。祇園信仰の広がりとともに、全国の寺社でも夏の祭りとして開催されるようになりました。

昔の祇園祭のイラスト

祇園社の御祭神:牛頭天王

牛頭天王(祇園天神)は、八坂神社の前身・祇園社感神院で、本尊として祀られていた尊格です。
インド祇園精舎の守護神とされましたが、そのルーツは不明です。仏教や道教の冥府神信仰や、日本の御霊信仰、陰陽道や朝鮮半島の信仰などが絡み合って成立した折衷神とも言われます。祇園信仰において垂迹は須佐之男命、本地仏は仏教の薬師如来とされました。
逆髪に牛頭冠を付けた憤怒形で、右手に斧、左手に羂索を持つ姿で表されます。多面多臂や鎧装束の像も見られます。

牛頭天王のイラスト

八坂神社の御祭神:素戔嗚尊

素戔嗚尊(須佐之男命)は、神仏分離令で祇園社が仏教色を廃止した八坂神社で主祭神とされている神様です。祇園信仰において牛頭天王の垂迹神とされていました。
記紀神話では三貴子の一柱とされる重要な神で、出雲の祖神ともされています。疫病神としての性格の他、武勇神・治水神・海洋神・植樹神・和歌神など非常に多面的な性格を持つ事から、牛頭天王と同じく複数の神格を内包している神様とも考えられています。
長髪有鬚の偉丈夫形で、八岐大蛇を退治して草薙の剣を得た故事から、剣を執った姿で表現されます。

スサノヲノミコト
参考資料
和のしきたり―日本の暦と年中行事:新谷 尚紀氏著/日本文芸社
和ごよみの暮らし―四季折々の生活の知恵:大泉書店編集部著/大泉書店
47都道府県・伝統行事百科:神崎 宣武氏著/丸善出版
仏教行事歳時記 7月 夏祭り:瀬戸内 寂聴氏・ 藤井 正雄氏・宮田 登氏著/第一法規
洛中洛外 京の祭と歳時12カ月:落合 俊彦氏・横山 健蔵氏著/竹内書店新社
祇園祭 - Wikipedia;https://ja.wikipedia.org/wiki/祇園祭

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